実施内容・方法

本研究では

  1. FCEおよびNQFを活用した外国人材受け入れに関する先進事例(カナダ、豪州など)の研究・検証
  2. 日本におけるFCEの運用と、NQF研究チームとの連携統合による外国人材の日本における資格基準とキャリアパスの明示
  3. 外国人が海外および日本国内で取得した資格について、オンライン上で証明書を発行できるシステムの構築

という3つの取組みを実現する。外国人材として在留資格を申請する者は、NQF明示とFCEシステム構築により、どのような学修歴や職務経験、資格があれば在留資格が得られるか、どのようなプロセスで評価されるかを確認することが可能となる。また、東京規約(2018年発効)において明文化されているFCEの「透明性・一貫性・信頼性・公平性の原則」を具現化することにより、外国の資格や学歴をもつ者が、適格かつ合理的な評価を受けられる。

現在、代表者を中心とする科研費研究チームは「学修歴・資格証明書電子化」を掲げて、日本の大学の在学生、卒業生を主対象に実証実験をすすめている(P14 日経新聞記事参照)。本企画では、実証実験で実際に運用されているオンライン・システムを発展させ、外国人材が主体的にキャリア形成を図り、自分の学修歴を情報発信できるようなシステム環境を提供する。具体的な取り組み内容、方法は以下の通りである。

<1年目>

  • カナダ、豪州などとの比較調査をすすめ、労働市場で求められる人材ニーズの分析手法、NQF活用方法、求める人材の資格、職業経験の明示方法、必要な外国人材の招致手法を調査する。
  • 外国人材に求められる能力・資格に関する情報を収集し、データとして公開する。特に、実際に雇用主から評価されている事例、起業して成功している事例などから、学修歴・資格などのモデルケース(匿名)および日本型NQFの概要をオンライン上で公開する。
  • FCEで実績のあるアジア学生文化協会(ABK)を中心に日本での就学・就業を検討している外国人材を対象とするFCEサービスをオンライン上に実装し、評価テストを開始する。

<2年目>

  • 高等教育機関における入学資格、業種横断型で資格参照基準を明示し、高等教育の学位、職業教育における資格と適合させる形で、日本型NQF(2業種)試作版をオンライン公開する。
  • 外国人材の中で、FCEサービスの早期の効果が期待できる層を特定し、大学など入学資格、就業要件にかかわるFCE評価サービスを重点的に提供する(年間100件)。

<3年目>

  • 専門学校、業界団体と連携し、日本型NQF試作版(6業種)を公開する。日本におけるFCEサービスを継続(年間200件)する。日本国内の外国人材のために生涯学習にかかわるアドバイザリー業務をトライアルで実施する(年間200件)。調査・研究の成果につき多様なステークホルダーと意見交換し、実効性のある総合的な政策提言につなげ、その実現化を図る。
  • 「外国人材学修歴オンライン・システム」を運用開始し、外国人材が主体的に自己の学修歴を発信できる環境をととのえる。
  • JICAが推進する「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」と協力し、日本に多くの人材を供給している東南アジア諸国関係者と意見交換を行い、普及展開の可能性を検討する。